
様々な食材を組み合わせて一つのものをつくる。素材の選択や組み合わせ方によっては想像以上のものができたり、あるいは失敗したりする。料理と建築設計はよく似ているところがあると常々思う。
最近はコロナウイルス渦の影響もあって在宅の日が多い。ピザ、パン、ナン、お好み焼き、もんじゃ、パエリア、ゼリー、、、特に粉物系をたくさんつくった。やはり、時間があってそれなりに楽しめる料理となれば粉物になってしまうんだろうな、と。っていうのも、みんなやってることが同じなのか、強力粉や薄力粉、重曹やゼラチン、寒天など、時間をかけてつくる料理にとっては必要不可欠な素材がほとんど品切だった。特に真っ只中であった3月〜4月。

トイレットペーパーやティッシュなどの紙製品がネットの誤情報により一時的に品薄になったのは多くのメディアが発信したことで有名になったが、粉物や寒天等が品薄になったのを知っているのは、実際に使う人たちだけであろう。

様々な素材を組み合わせて一つのものをつくる。料理も建築も音楽も絵画も…その他、素材という言葉の定義を拡大解釈すれば実に多くの事物がそれに当てはまる。
建築とはあらゆる情報の総合芸術である
創造やデザインとは総合的なもので多角的視点が必要不可欠である。一つの観点からでは決して良いものは作れない。著者の師からの教えであり、建築人生の糧にもなっている。
「あらゆる情報」には様々な意味合いが込められている。木やコンクリート、鉄、ガラス、アルミニウム、石といった素材そのものの意味もあれば、組物や構造、工法、納まりといった技術的な意味もある。さらに解釈を拡げれば使い勝手や空間の感じ方、時間、距離感、陰影、光、時代、社会、環境といった数値や計算では捉えられない要素も含まれる。それら関わる全ての情報の総合的芸術が建築である。
情報社会が加速度的に進む昨今、多くの人があらゆる情報に右往左往している。何を信じればよいのか、どうやってその情報を利用すればよいのか。重要なのは素材一つひとつに向き合うこと。情報も同じ。抽象度の段階的操作により情報はその姿を変える。刻々と変容を続ける情報に向き合う為には、我々もその時間軸を共有する必要がある。そうすることで、焼き過ぎや過不足な調味料を防ぐことができるのだ。
*当記事の関連本*