クリエイター 建築 日常

新たなアイデアを求めて

学生の頃、谷口吉生先生の建築巡りをよくやっていた。社会人になってからも、旅先の近くにあれば寄るようにはしている。学生の頃からディテールへの意識は強く、スチールやアルミ、木材の複雑な組合せ、部材間の納まりなどはよくスケッチしたり写真を撮ったりしていた。

もともと日本の社寺建築からスタートしてる筆者の研究スタイルは、そのまま空間の見方や設計の手法となっている。組物や工法のディテール、プランの構成論、アプローチ、シークエンス、地域としての立ち位置、都市としての立ち位置、あり方、見え方、宗教としての立場、展開、様々なスケールで様々な様相を醸し出す。

視点を変えると、その視点での時間軸が垣間見える。部屋を見渡すと多くの情報で溢れている。

ふと部屋を見渡してみる。

そこに積み重なる10冊の本は、その痕跡を醸し出す。1冊1冊の積み重ねが時の表出である。その1冊は1枚1枚の時の重なり。その1枚に刻まれた汚れや傷や折れ線が記憶の痕跡となる。その痕跡は読書という記憶を回帰させる。新たな情報の始まりがそこに眠っている。めくるという動作でその記憶が回帰される。始まりとなったその場所は次の始まりとして終わりを迎える。

海を見に行くと記憶がリセットされる。自然と一体となるような感覚を味わうと不思議と次に進める。たまには情報と切り離された時間は必要だと思う。常に情報のシャワーを浴びる日々を送ると、情報と切り離された時間はさらに特別なものになる。考える時間が増え、過去に浴びた情報は洗練されて、あるいは他の情報と結びつき、その姿を今に表出させる。

デザインをするとき、その感覚を何度も味わう。過去の様々な情報が姿を変えて、あるいは他の情報を携えて、今の情報にリンクする。だからこそ、毎日毎日情報のシャワーを浴び続けることが重要なのだ。それは文字情報だけではなく感覚機関としての情報。アンテナを常にはり続けて、体で感じ、言語化を試みる。言語化することで、それはアイデアとなって未来に現れる。その再会を信じて今日も新たな情報に出会う旅に出る。

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